
地球への訪問者と言えばエイリアンやUFOなどが思いつくが、それ以外に、過去に幾度ともなく地球外から訪問してくるものがある。宇宙から降り注ぐ隕石や小惑星だ。地球上に衝突した隕石は、巨大なクレーターを形成する。時を経てもなお、そのインパクトの大きさが蘇る、驚くべき10のメテオクレーターを見ていくことにしよう。
ソース:Heavy Hitters: Earth’s Most Amazing Meteor Craters
1.メテオ・クレーター、米アリゾナ州
フラグスタッフから40マイル東に位置する直径1200メートル、深さ約182メートルのメテオクレーターは、比較的最近(約4万年前)形成されたことと、乾燥した気候の北部のアリゾナ砂漠の中にあるおかげで、驚くほど月に似た風景だ。その鉄ニッケル合金が主成分のキャニオン・ディアブロ隕石は、直径約50メートル、重量は約15万トンあったと推測されている。

メテオクレーターは、意外にも個人的な所有物で、1903年以降バリンジャー家の資産となっている。観光客はクレーターのふちの部分に建つ、メテオ・クレーターエンタープライズ(観光案内所)に入場料15ドルを支払い見学ができる。そこで、CGによるプレゼンテーションとその周辺で見つかった鉄隕石のかけらに触れることができるそうだ。

1964年小型セスナ機がそこに飛来して、しつこい下降気流のせいで脱出できなくなり、結局クレーターの底に墜落したそうだ。
2.ウォルフ・クリーク・クレーター、オーストラリア
アリゾナのメテオクレーターと同様、ウォルフ・クリーク・クレーターも比較的新しい(約30万年前)のと、オーストラリアの奥地という環境の条件のおかげで良好な保存状態だ。観光客が地上からクレーターにたどり着くには、深さ50メートルの砂に覆われたクレーターの底に下って行く前に、まず25メートル以上の高さの崖を登らなくてはならない。

幅800メートルのウォルフ・クリーク・クレーターは、天文学的な起源の証明になる。ここから酸化した鉄隕石とインパクト・グラス(衝突時の熱で砂が溶けて固まったもの)のかけらなどが見つかった。なお、このクレーターの中心には石膏が露出して点在していている。その白い鉱物は荒れ果てた砂漠の中でも水を含有し、樹木の成長を助けている。

3.マニクアガン・クレーター カナダ ケベック州
マニクアガン・クレーターは世界最古の目視可能な衝突クレーターのうちの一つである。べ・コモ町からおよそ305キロ北に位置しており、カナダの頑強な頑丈な岩盤上に位置しているおかげと現存できた考えられている。クレーターの隆起した高原を中心に囲むその湖の直径は約64キロメートル。

デビット・ローリー、ジョン・スプレイとシモン・ケリーはある興味深い理論を提示した。マニクアガン・クレーター、ロシュシュアール・レーター(フランス、写真上)、セイント・マーティン・クレーター(マニトバ州、カナダ)、オボロン・クレーター(ウクライナ)とレッド・ウイング・クレーター(ノースダコタ州、アメリカ)は、大きな小惑星一つが、地球の高高度の大気内でバラバラになったことが引き起こした一連の"クレーター・チェーン"で形成されたていると仮説を立てた。大陸移動がその位置を世界中に分散させたが、2億1400万年前それらは接近して一列に並んでいた。そして、それらは中生代の三畳紀後期の消滅イベントの原因になったのかもしれない。

4.ウェタンカ・クレーター 米アラバマ州
およそ8200万年前、幅335メートルの隕石が現在のアラバマ州北部の浅い海に衝突した。今その跡地は地球上で最高の保存状態のクレーターとなっている。約8キロメートルのウェタンカ・クレーターの特徴は、むき出しのクレーターの表面、そして海底の岩盤上への突然の衝突の痕跡をはっきりと示す中央の隆起だ。

画家のジェリー・アームストロングが描いた図によると、ウェタンカ・クレーターは地質学的に衝突後、短い時間しかたっていないように見える。

5.ロナール・クレーター湖、インド
インドで最も有名な隕石衝突クレーター、ロナール・クレーター湖は、ウッタルプラデーシュ州のスルターンプル町のそばに位置する。リム(ふち)からリムまでの幅は1.6キロメートル余りで、クレーターは部分的に塩分の高い、アルカリ性の直径1,200メートルの湖に満たされている。ロナールクレーターは更新世の頃およそ52,000年前に流星か隕石の衝突によって形成された。

ロナール・クレーターがその本来の形状と外観をきちんと保持しているのは、インドの地域の氷河作用がないことと、その地帯の岩盤を大量につくりだしている火山性の玄武石の高度のおかげだ。

6.ピングアルイト・クレーター、カナダ ケベック州
”ヌナビクのクリスタル・アイ”として、現地の人々にだけ知られていた、ピングアルイト・クレーターは1940年半ばに発見された。およそ140万年前に起こった隕石衝突クレーターの跡地だ。現在その湖はそのクレーターにたまる雨と雪のみで満たされているので、塩分濃度がたった3ppm(5大湖は平均500ppm)と、特別な水質になっている。


公式にはニュー・ケベック州クレーターとして知られている、ピングアルイト・クレーターはケベック州のアンゲーバー半島のはるか北方に位置していて、その直径は3.4キロメートルである。

7.カーリ・クレーター、エストニア
およそ紀元前660年、隕石が大気圏に突入して少なくとも9つに砕け散り、バルト海のサーレマー島に広島の原爆レベルの衝撃を与えた。そのクレーターのいくつかはのちに地下水で満たされたが、氷河期の氷が後退した後も、特徴的な丸い形状を保持している。その中で最も大きいカーリ・クレーターは直径約100メートル。地下水が満ちていて、その水位は季節によって変化する。


カーリで起きた出来事は地表のみならず、さらなる衝撃を当時の人々に与えたかもしれない。ノルウェーの神話同様、古代バイキングとフィンランドの叙事詩にも恐ろしい悲劇であったという記述が残されている。メインのカーリ・クレーターは"ホーリー・レイク"と呼ばれ、異教の信仰にも使われていたようだ。

8.ゴッシズ・ブラフ・クレーター、オーストラリア
ゴッシズ・ブラフ・クレーターができたのは、なんと約1億4200万年前にさかのぼる。そんな太古の昔に形成されたわりには状態が良い。オーストラリアの北部、荒々しくも美しいクレーターは、澄みきったアウトバックの空に浮かび上がるリングが特色で、旅行者に人気の観光地となっている。アリススプリングスの町から約170キロメートル先で見つけることができる。


ゴッシズ・ブラフの火の玉の到着地は、究極の"ジュラシックパーク"状態だったと言われている。広範囲にわたる壊滅をもたらし、直径22キロメートルのメテオクレーターができあがった。その痕跡も時が流れ、今では直径5キロメートルにまで縮小された。

9.クリアウォーター・レイクス、カナダケベック州
カナダのケベック州、ハドソン湾の岸のそばに位置する、クリアウォーター・レイクスは、2つのメテオクレーターで形成されている。2億9,000万年前のクレーターながら、カナディアン•シールドと呼ばれる頑丈な岩盤のおかげでそれらの基本的な構造を保っている。

形の湖の直径は26kmと36kmで、片方の湖の特徴は内側に円状の島があり、元々は複数の輪で成り立っていると推測できる。このツイン・クレーターは、太陽系内では岩石を多く含む惑星と月の何処かでたびたび見られるが、地球上では珍しい。原因は大気圏を通過中、本来の隕石が2つに割れたものか、もしくはその小惑星は衛星を従えた最後の旅の途中だった可能性もあると言われている。

10.ウィルクスランド・クレーター、南極大陸
人間の視覚の限界を超えて、精度の高いマッピングを記録する高性能なカメラの出現によって、新しいクレーターやその痕跡は継続的に発見されている。それは氷に閉ざされた南極大陸も例外ではない。巨大な氷の直下に何百万年も閉じ込められていたクレーターが、今後続々と発見されることになるだろう。約2億5千年前、当時の南極大陸は今より暖かく、直径50キロメートル級の小惑星が非常に大きな爆発音と共に次々と落下していたようだ。

ウィルクスランド・クレーターは、直径200キロメートルのべドゥー・クレーターと共に南極大陸付近で形成された可能性があり、その余波の隕石が地球歴史上最悪の種の消滅、つまりペルム紀末の大量絶滅をもたらしたのかもしれないという説もある。それは再び起こりうるのか?私たちはただそうならないことを天に祈るのみだ。そう、その星が落ちてくる可能性があるにもかかわらず、天に浮かぶ空の星に・・・


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