
ナトロン湖は、タンザニア北部のケニア国境近く、アフリカの南北に延びるグレート・リフト・バレー(大地溝帯)の東の分岐上に位置する塩湖である。北東には世界最大級の大きさのンゴロンゴロクレーターがある。
ゆるやかに連なる火山性の丘陵地帯と深い谷に囲まれ、地溝の最深部、海抜600mに横たわるナトロン湖は、おそらく世界で最も高い腐食性を持つ湖だ。フラミンゴの繁殖地でもあるこの湖がフラミンゴを鮮やかなピンク色に染め上げる
この湖にはエワソ・ンギロ川と、ミネラルが豊富な高温の湧水が流れ込む。水深は非常に浅く、3mに満たない。湖の大きさは水位によって変化する。その水位は異様に高い水分蒸発率により激しく変動する。湖岸には濃縮した塩分やミネラル分、特に炭酸ナトリウム(ナトロン)が多く残される。



ナトロン湖は、独特の深い赤みを持つ。乾季に水が蒸発するにつれて、湖の塩分は好塩性微生物が繁殖し始める濃度まで上昇する。その微生物達の中には、植物と同じように光合成を行い養分を作る藍藻類という種も含まれる。その藍藻類が持つ赤い光合成色素によって湖水は濃い赤色に、浅瀬の部分はオレンジ色に染めあげられる。湖の表面によく赤やピンク色のアルカリ塩の結晶が見えるのは、そこに好塩性微生物が生息しているためだ。




ナトロン湖は東アフリカで唯一、準絶滅危惧種のコフラミンゴが250万羽も集まる希少な繁殖地だ。塩分濃度が上がると藍藻類も増加するので、それを餌とするフラミンゴはこの湖で多くの巣を作ることができる。
ここに自生するスピルリナ(赤色色素カンタキサンチンを持つ青緑の藍藻類)はフラミンゴたちの格好の餌となる。もともとフラミンゴは白っぽい色をした鳥なのだが、スピルリナを餌として食べているため体がピンク色になるのだ。
フラミンゴは湖の蒸発残留物でできた岩の上に営巣する。巣を狙う捕食達は腐食性を持つ湖水によって阻止されるため、ナトロン湖はフラミンゴにとって安全な繁殖地となっている。



via:amusingplanet・原文翻訳:R
動画:ナトロン湖のフラミンゴ繁殖地
動物園にいるフラミンゴは、天然のスピルリナを食べることができないので、βカロチンを添加したえさをあたえ、ピンク色にしているそうだ。一度ピンク色になってもβカロチンを摂らせない様にすると、また白っぽい色に戻っていくと言う。
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